逮捕 勾留について思う
種村 求 (弁護士)
川崎は刑事事件が多いのか,私も相当数の刑事事件を担当しておりますが,その中には,逮捕された直後の段階で,早期に被疑者を釈放するために刑事弁護を依頼されることもよくあります。
警察官が被疑者を逮捕した場合,警察官が被疑者を書類や証拠と一緒に検察官に送致し,被疑者を受け取った検察官が被疑者の勾留を裁判所に対して請求するのがほとんどですが,勾留を請求された裁判官が勾留の必要があると判断した場合には,被疑者は最低でも10日間は勾留されることになります。 そして,一旦勾留が認められた場合には,さらに10日間の勾留延長が認められることがほとんどですので,被疑者は,逮捕されると,22日程度は警察署の留置場に拘束されてしまうことになるわです。
確かに,被疑者は法に触れることをして逮捕されているわけであるから,自業自得という面はありますし,一定期間留置場で拘束されることで,被疑者が真に反省する効果もあるでしょう。 しかし,中には,どんなに重く処罰されても罰金を課されて終わりになるような軽微な犯罪の場合もあります。 それでも22日間も勾留されてしまうと,これまで真面目に働いていたサラリーマンが解雇されてしまったり,家族がある場合には一家離散の危機に陥ったりするわけで,犯した罪よりはるかに重い「不当な」制裁を課されてしまう場合もあるのです。 勾留は被疑者の社会生活上大きな不利益をもたらすものである以上,何でもかんでも勾留すればいいというものではないと私は思います。
勾留されずにすむよう,逮捕直後に刑事弁護を依頼された場合には,夜に被疑者と面会して刑事弁護を受任し,被疑者の家族から被疑者に有利な資料を預かって,翌日朝までには勾留請求をしないでもらえるよう検察官に対して意見書を作成したり,裁判官に対して勾留の却下を求める意見書を作成したりする必要があるなど,時間的にも体力的にも大変な面はありますが,犯した罪よりはるかに重い制裁が課されてしまうことのないよう,私なりに,被疑者のために奮闘しています。 そして,このような活動に,私自身は非常にやりがいを感じています。